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50人以下の会社でも選べる社会保険の新しい選択肢と、10月からの保険料軽減制度

社会保険情報 / 2026年7月
優秀な人材を手放さないために
50人以下の会社でも選べる社会保険の新しい選択肢と、10月からの保険料軽減制度
「週20時間から短くしてほしい」というパート社員の要望に応えると、社会保険から外れてしまう——そんなジレンマを抱える中小企業の経営者は多いはずです。しかし「任意特定適用事業所」という制度を活用すれば、従業員50人以下の会社でも短時間労働者の社会保険加入を継続させることができます。さらに2026年10月からは、会社・社員双方の負担を軽減する新しい調整制度も始まります。
社会保険の加入要件——原則と短時間労働者のルール
健康保険・厚生年金保険(社会保険)に加入するための基本的な要件は、「正社員の4分の3以上の労働日数・労働時間」です。週5日・1日8時間勤務の正社員がいる会社であれば、週30時間以上が目安となります。
一方、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上の「特定適用事業所」では、次の4要件を満たすパートタイマー等の短時間労働者も社会保険に加入する義務があります。1週間の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月8.8万円以上、2か月を超える雇用見込みがあること、学生でないことがその要件です。
しかし従業員数が50人以下の会社では、この短時間労働者の加入義務がありません。そのため、週の労働時間を少し削るだけで社会保険から外れてしまう状況が起こりやすいのです。
任意特定適用事業所とは——50人以下でも選べる「手挙げ」制度
任意特定適用事業所(日本年金機構)とは、従業員数が50人以下であっても、会社が任意で特定適用事業所の扱いを選択できる制度です。この申請を行うことで、週20時間以上等の要件を満たす短時間労働者が社会保険に加入できるようになります。
ただし重要な点があります。任意特定適用事業所になると、要件を満たす短時間労働者「全員」が社会保険の加入対象となります。一部の社員だけを対象にすることはできません。そのため、会社全体での影響を試算したうえで判断することが必要です。
任意特定適用事業所になることのメリット・注意点
メリット:従業員が国民健康保険・国民年金保険料を自分で払う必要がなくなる。健康保険の傷病手当金・出産手当金なども受けられる。
注意点:週20時間以上の短時間労働者全員が加入対象になるため、想定外の人数が加入対象になる可能性がある。会社の保険料負担が増える。
2026年10月スタート——社会保険料の調整制度とは
さらに注目すべき新制度が2026年10月1日から始まります。任意特定適用事業所(または2027年10月の適用拡大で新たに特定適用事業所になる事業所)において、新たに短時間労働者として社会保険に加入することになった従業員の保険料負担を軽減する「調整制度」です。
調整制度のしくみ(概要)
会社(事業主)が、新たに社会保険に加入する従業員(被保険者)の保険料分を一時的に負担することで、従業員の社会保険料の自己負担が通算3年間軽減されます。
会社が負担した分は、一定期間経過後に調整されます。そのため、最終的に会社が納付する社会保険料の総額は変わりません。
従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。
この調整制度の狙いは、「社会保険に入ると手取りが減る」という従業員の不安を和らげ、会社が任意特定適用事業所になることへのハードルを下げることにあります。導入を検討している会社にとっては、従業員への説明材料としても使えます。
どんな会社が検討すべきか——判断の目安
任意特定適用事業所の活用を検討すべきケースとして、次のような状況が挙げられます。週20時間を少し下回る働き方を希望するパート社員がおり、社会保険の継続加入を望んでいる場合。優秀な人材を確保するうえで、社会保険への加入が採用競争力に影響していると感じている場合。2027年10月の適用拡大(厚生労働省)に向けて、先行して体制を整えておきたい場合。こうした課題を抱えている会社は、まず現在の従業員構成と保険料の試算を行ったうえで、導入のタイミングを検討することが重要です。
ポイントまとめ
従業員数50人以下の会社でも「任意特定適用事業所」を選択することで、週20時間以上の短時間労働者を社会保険に加入させることができる。
任意特定適用事業所では、要件を満たす短時間労働者「全員」が加入対象になるため、事前の試算が重要。
2026年10月から、新たに加入する短時間労働者の保険料負担を3年間軽減する「調整制度」が始まる。
最終的に会社の保険料総額は増えない設計。将来の年金額にも影響なし。
SASより
任意特定適用事業所の申請については、対象となる従業員の洗い出しと保険料の試算を行ってから判断することをお勧めしています。思ったより対象者が多い、あるいは少ないというケースも実際にあります。10月からの調整制度を含め、具体的な試算や手続きについてはお気軽にご相談ください。
※本記事は2026年7月時点の法令に基づく内容となっております。
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