(65歳超継続雇用促進コース)
高齢者でも安心して働ける仕組みを整えた会社への助成制度
最初に押さえるべきは、助成の対象が「制度を変えたこと」そのものではなく、制度改定に要した外部専門家等への経費だという点です。就業規則を社内で作り直して制度だけ整えても、外部専門家に委託していなければ対象外となり得ます。
実務上は、社労士等の専門家に就業規則や関連規程の改定を依頼し、その契約・請求・支払が確認できる形で残っていることが重要です。社内担当者や勤務社労士が変更を行い費用が発生しない場合、社会保険労務士事務所等で外部に費用が発生することが考えられない事業主は対象外になります。
本コースは、就業規則(または労働協約)で、定年や継続雇用の制度を一定方向に整備した場合に対象となります。
中心となるケースは次の3つです。
重要なのは、「何歳まで働ける制度にしたか」だけではなく、「制度の作りが要件と合っているか」です。条文の書き方ひとつで対象外となる典型パターンが複数あります。
申請前に確認すべき基本要件は次のとおりです。
特に見落とされがちなのが、高年齢者雇用管理措置の実施です。選任した「名義だけ」では足りず、55歳以上の者に対する教育訓練・健康管理・賃金体系の見直し・勤務時間の弾力化等、会社として高年齢者が働き続けられる環境を整える実体が求められます。
「定年年齢だけ上げました」で完結しないのが、この助成金の重要なポイントです。勤務時間の弾力化では、55歳以上の従業員に対する9時間以上の勤務間インターバル措置の導入も対象になります。
支給額は、実施した措置の内容と、申請日前日における60歳以上の雇用保険被保険者数に応じて区分されます。複数の措置を同時に実施していても、原則として「最も高い額の1つ」のみが対象になります。
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60歳以上 被保険者数 |
65歳 |
66〜69歳 (5歳未満) |
66〜69歳 (5歳以上) |
70歳以上 | 定年廃止 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1〜3人 | 15万円 | 20万円 | 30万円 | 30万円 | 40万円 |
| 4〜6人 | 20万円 | 25万円 | 50万円 | 50万円 | 80万円 |
| 7〜9人 | 25万円 | 30万円 | 85万円 | 85万円 | 120万円 |
| 10人以上 | 30万円 | 35万円 | 105万円 | 105万円 | 160万円 |
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60歳以上 被保険者数 |
66〜69歳 | 70歳以上 |
|---|---|---|
| 1〜3人 | 15万円 | 30万円 |
| 4〜6人 | 25万円 | 50万円 |
| 7〜9人 | 40万円 | 80万円 |
| 10人以上 | 60万円 | 100万円 |
継続雇用促進コースは、申請期限が厳格です。制度の実施日(改正後就業規則の施行日)が属する月の翌月から起算して、4か月以内の各月月初から15日までに提出が必要となります。
おすすめは、制度施行日と"最初の受付期間"を先に押さえ、そこから逆算して、条文確定・周知・届出・証憑準備を進めることです。
条文の作り込みによる失点が目立ちます。典型例として次のケースがあります。
改正後の就業規則等に2つ以上の定年を設けた場合は、その低い方の年齢で助成額の判定がされます。就業規則全体を横断して整合を取ることが必要です。
なお、70歳定年の会社が70歳を超えた人を雇用する場合など、実務的には第2定年・第3定年を挿入することも検討に値します。
提出書類で見落としがちなのが経費の疎明です。次の3点の整合が取れているかが審査の土台です。
宛名が申請事業主になっているか、ただし書きで内容が特定できるか(就業規則等の定年条項改正に要した費用かどうかが判別できるか)の確認が必要です。
就業規則についても、改正前・改正後が揃っているか、常時10人以上であれば労基署への届出関係が明確か(改正後は人数に関わらず届出が必要)、付属規程も含めて条文整合が取れているかが審査の土台になります。
おすすめは、助成金から入るのではなく、まず「自社は何歳まで、どの雇用形態で、どんな働き方を用意するのか」という設計図を描き、その設計図に沿って就業規則・運用ルール・雇用管理措置を整備し、最後に助成金の要件に合わせて証憑と期限を逆算で組み立てるやり方です。
令和8年度には助成額の底上げも予定されています。理想の職場づくりに向けた戦略的な準備を今から始めていきましょう。
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