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2026年8月改正-産業医が「辞めた」とき、会社がやるべき手続きと見落とされがちな実務ポイント

安全衛生情報 / 2026年7月
8月から申告義務が変わる
産業医が「辞めた」とき、会社がやるべき手続きと見落とされがちな実務ポイント
常時50人以上の労働者を使用する事業場には産業医の選任義務がありますが、2026年8月1日からは「産業医が辞任・解任・退任した場合」にも所轄労働基準監督署への報告が義務化されます。選任・変更時の報告については知っていた会社でも、辞任等の報告まで把握していなかったケースは少なくないはずです。今月中に自社の対応を確認しておきましょう。
産業医とは何をする人か——その職務を改めて整理する
産業医は、職場における労働者の健康管理を医学的な専門知識をもって担う医師です。「健康診断を受けさせれば十分」と思っている経営者や人事担当者もいますが、産業医の役割はそれにとどまりません。法令上、産業医が担う職務は次の通りです。
健康診断の実施とその結果に基づく措置、長時間労働者への面接指導とその結果に基づく措置、ストレスチェックの実施と高ストレス者への面接指導、作業環境の維持管理、作業管理、労働者の健康管理全般(前記以外)、健康教育・健康相談および労働者の健康の保持増進のための措置、衛生教育、労働者の健康障害の原因調査と再発防止のための措置——これらすべてが産業医の職務として位置づけられています。
また産業医が適切に職務を果たすためには、会社が必要な権限を付与し、必要な情報を提供することも義務付けられています。たとえば「時間外・休日労働が月80時間を超えた労働者の氏名と超過時間数」は、産業医に提供しなければならない情報の代表例として挙げられています。
8月から変わること——辞任等の報告義務化
これまで、産業医に関して労働基準監督署への報告が義務とされていたのは、産業医を「新たに選任したとき」と「変更(交代)したとき」でした。2026年8月1日からはこれに加え、産業医の「辞任・解任・退任」があった場合も報告が義務となります。
報告義務の対象となる場合
産業医が自ら辞任を申し出た場合
会社が産業医を解任した場合
産業医が死亡・資格喪失等により退任した場合
報告の方法——原則は電子申請、書面も当面は認められる
報告の方法は原則として電子申請(e-Gov)を使うことが定められています。ただし、電子申請を行う環境が整っていない場合などは、当分の間の経過措置として書面による報告も認められています。
電子申請の対応が難しい場合は、まず所轄の労働基準監督署に相談することをお勧めします。報告書の様式については、厚生労働省のウェブサイトや労働基準監督署で確認できます。
50人未満の事業場はどうなるのか
常時使用する労働者数が50人未満になった事業場については、産業医の選任義務がなくなるため、その際の辞任等について法令上の報告義務はありません。ただし、労働基準監督署が産業医の選任状況を適切に把握するという観点から、可能であれば報告を行うことが望ましいとされています。
なお50人未満の事業場であっても、産業医の活用は任意で行えます。特にストレスチェックの実施義務が将来的に全事業場へ拡大されることが見込まれており、産業医との連携を早めに構築しておくことが実務上の備えとなります。
産業医の重要性が高まる理由——メンタルヘルスとストレスチェック義務化の動向
働く人の健康への意識が社会的に高まる中、産業医の役割はますます重要になっています。ストレスチェックは現在、50人以上の事業場に義務付けられていますが、今後は全事業場への義務拡大が議論されています。また長時間労働による健康リスクへの対応として、産業医による面接指導の重要性も増しています。
報告手続きの整備は最低限の義務ですが、それにとどまらず、産業医が実際に機能する体制を整えることが、企業の持続的な労務管理において求められています。産業医に情報がきちんと届いているか、面談が形式的になっていないか、この機会に見直してみてください。
ポイントまとめ
常時50人以上の事業場は産業医の選任義務あり。産業医の職務は健康診断だけでなく、長時間労働対応・ストレスチェック等、多岐にわたる。
2026年8月1日から、産業医の辞任・解任・退任時にも所轄労働基準監督署への報告が義務化。
報告方法は原則電子申請。当面は書面でも可。
50人未満の事業場は報告義務なし(ただし任意報告が望ましい)。将来的なストレスチェック義務拡大を見越した産業医の確保も検討を。
SASより
産業医の選任状況について、書類上は選任しているものの実際の関与が薄いというケースが見受けられます。月80時間超の残業者情報の提供など、会社側の情報提供義務も改めて確認しておくことをお勧めします。今回の義務化を機に、産業医との連携体制を整理してみてはいかがでしょうか。
※本記事は2026年7月時点の法令に基づく内容となっております。
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