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2014/8/21号③ 従業員の健康情報取扱いの留意点

従業員の健康情報を取扱う際の留意点

 

 文書作成日:2014/8/20

 

 定期健康診断の実施は過重労働対策の観点から、近年ますますその重要性が増しており、監督署の定期監督の際にも確認が行われる重点項目となっています。そこで今回は、定期健康診断にまつわる実務上の問題として、定期健康診断の情報(以下、「健康情報」という)を取扱う際の留意点について解説しましょう。

 

1. 定期健康診断の実施と労働者の受診義務
 そもそも会社は常時使用する労働者に対して、医師による定期健康診断を実施する義務が課されており、労働者についても健康診断を受診する義務があります。稀に会社が行う定期健康診断を受診したくないと拒む労働者がおり、会社として対応に困ることがあるのではないでしょうか。

 これについては、会社が指定する医師による健康診断を受診することを労働者が希望しない場合、他の医師による健康診断の結果を証明する書面を提出すれば、会社が行う健康診断を受けなくてもよいとされています。そのため、会社としては健康診断の結果を提出するよう労働者に義務を課し、提出しない場合は、会社の定期健康診断を受けるよう指導を行い、必ず受診させるようにしましょう。

 

2. 健康情報を取扱う際の留意点
 定期健康診断の実施後、その結果を受けて、会社は必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じなければならないとされていますが、これに関連して実務上、健康情報を社内のどの範囲まで閲覧できるようにするのかという問題があります。

 これについては、健康情報はセンシティブ情報となることから、社内での閲覧には制限を掛ける必要があります。具体的には、厚生労働省より「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」が出されており、以下のように示されています。

 

 「 事業者は、産業保健業務従事者以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な範囲内に限定されるよう、必要に応じて、産業保健業務従事者に健康情報を適切に加工させた上で提供する等の措置を講ずること。」

 

 したがって、健康情報を閲覧させる際には、業務上必要な範囲にとどめた上で、適切に加工した情報を提供することが求められます。併せて情報を取扱う者に対して、守秘義務を課すなど事前にリスク対応しておきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161029kenkou.pdf

 

※文書作成日時点での法令・情報等に基づく内容となっております。