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#5:「職場環境」の本当の意義

 いわゆる、政府が発信する「働き方改革」でも、職場環境を整備することで、社員の業務効率・生産性を上げることができ、そのことが会社の業績向上にも繋がると謳われています。

 

 このことに反論する方はあまりいないと思いますが、では、なぜ「職場環境」を整備することで、社員の生産性が上がるのか、この点については、どのように考えられますか?

 

「そりゃー、誰だって、職場が綺麗になったり快適になれば、仕事に対するやる気も違ってくるし、生産性ってやつも変わってくるんじゃないの?ただ、うちの会社は今お金がないし、オフィス一新はもう少し先かな・・・」

こういった声も聞こえてきそうです。

 

 もちろんこうした視覚的、体感可能な「職場環境」を整えることも重要ではあるのですが、ここで言われている「環境」とはもう少し広い意味で捉えるべきと考えられます。

 

 具体的には、その職場で行動する社員に対して影響を与える、制度や規定・ルール、社長・リーダーが発するメッセージなど。抽象化すれば、職場での言語空間とも言うべきものでしょうか。

 

 従って、「職場環境の整備」とした場合、こうした職場のルールやトップメッセージといった要素を主体として考えるべきであり、いろいろと思い悩むことにもなるとはいえ、他方必ずしもお金がかかることでもなく、全ての組織で即実践可能な内容です。

 

 「環境が人を変える」とは、世にいう成功法則などでもよく持ち出されますが、まさに人の行動に影響を与えるにはこの「環境」を変えることが最も即効性があると言えるでしょう。

 

 一方で、私たちは、とかく人の行動を変えようとすると、個別具体である目の前の人にのみ目を向けたり、働きかけたりする傾向があります。

(これはある意味、臨場感の高さからして仕方ないことではあるのですが・・・)

 

 例えれば、ある空間に人が1人いて、その人が手を下から上に挙げたとしたら、その原因はその人自身にあるものと決めつけて、個別に話を聞いたり、これまでの経歴を探ったりするといったように。しかし、仮に、視線の先をその人自身ではなく、その人の周りを覆っている空間に向けたとすれば、実は空間がスライムのように上から下に動いていただけで、その人自身が主体的に動いたわけではなかったということもあり得るわけです。いや、むしろ職場という特殊空間であれば、後者の場合がほとんどと言ってよいかもしれません。

 

 かつて、現代思想家のフーコーは「人間は死んだ」という言説を残しました。

 

 これは、何事も人間主体で考える実存主義に対して、知らず知らずのうちに人間が周りの構造(=環境、言語)に影響を受け、行動が促される構造主義、そしてその解体を模索するポスト構造主義と言われる世界観を表しています。どちらかといえば、権力批判の文脈で使われた言説ですが、見方を変えれば、構造とは権力そのものにもなり得る強い影響力があるということ。会社組織における職場という特殊空間の中、善意の下、活用するのであれば、これほど有用なものはないでしょう。

 

 社員の行動にダイレクトに影響する「職場環境の整備」。

 改めて自社にあてはめて検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 (2019-1-5)

 

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