社有車で事故を起こした場合に
修理費の請求はできる?
文書作成日:2014/9/22
業務上、従業員が車を使わざるを得ない業種もかなりあるのかと思われますが、もし社有車で事故が起きてしまった際の、従業員の責任の範囲についてご存知でしょうか。
以前、関与したある運送業の会社では、従業員に対して非常に厳しい規律を求めており、罰金制度(1事案1万円;いわゆる減給の制裁とは異なります。)を設けていたところがありましたが、これは法律に違反する内容となりますので、ご注意ください。
労働基準法では、賠償予定の禁止という条文があり、あらかじめ損害が生じた際の賠償額について特定して定めてはいけないこととされています。ただ、逆に言えば、実際に損害が生じた際にその損害について賠償させること自体は一定の範囲内で認められています。
社有車事故でいえば、不注意や過失、故意によって事故を起こした場合に、修理費を負担させるといったケースが考えられます。ただし、会社もその社有車の運転により事業を行い、利益を得ているという考え方がベースにあることから、損害額の全額を負担させるのは問題があり、過失の度合い等にもよりますが、過去の裁判例等も踏まえると最大でも修理費の4分の1程度が妥当な水準かと思われます。
また、余談になりますが、従業員本人が賠償金額を支払えない場合に身元保証人に請求できるのか否かについて補足しておきます。
そもそも身元保証については「身元保証ニ関スル法律」という法律があり、身元保証期間については期間を定める場合は5年、期間を定めない場合は3年までと決められています。そのため有効期限内であれば身元保証人に請求することは原則的に可能です。
有効期限が過ぎている場合については更新することができますが、全従業員を対象とするのか、それとも不正が発生しやすい営業担当者や経理担当者等に限定するのか、企業の方針に基づいて検討することが望まれます。なお、更新を行う際は更新漏れのないように管理しておくとともに、大前提として不正が起きないようにチェック体制をとっておきましょう。
※文書作成日時点での法令・情報等に基づく内容となっております。